「幕の内弁当」と「松花堂(しょうかどう)弁当」の違いは何ですか?
2019年08月05日
コンビニやお弁当屋さんに行くと必ずといってよいほど見かける「幕の内弁当」は、色々なおかずを食べられるお弁当として人気があります。
一方、「松花堂弁当」は「お弁当」のはずなのにお弁当屋さんなどで見かけることは少なく、日本料理店などやや格式が高いイメージがあります。
どちらも同じお弁当であるはずなのに購入できる場所やイメージに大きな違いがある幕の内弁当と松花堂弁当ですが、どんな違いがあるのでしょうか。
手軽で庶民的な「幕の内弁当」
幕の内弁当の「幕の内」とは、芝居の「幕間」という意味で、名前のとおり「芝居の休憩時間(幕間)に食べるお弁当」として考えられたのが発祥だといわれています。
短時間でも手軽に食べられるよう、ご飯は俵型のおにぎりになっているほか、衣服を汚したり持ち運んでいる間に汁がこぼれたりしないよう、水分が多いおかずを極力入れず揚げ物や練り物、焼き物が主体です。
庶民的なお弁当なので演劇の幕間はもちろん、お花見や遠足といった行楽シーンに最適といえるでしょう。
「松花堂弁当」は弁当スタイルの懐石料理
一方、松花堂弁当は江戸時代の画家であり、僧侶でもあった松花堂昭乗(しょうかどう しょうじょう)が十字の仕切りがついた箱を茶会などで利用するようになったのがきっかけだといわれています。
十字の仕切りがついた箱の中には小鉢に盛り付けられた料理が入っており、料理の内容は刺身、煮物、焼き物など懐石料理にならっているのが特徴です。
また、正式な松花堂弁当の箱の中に入っているのはおかずだけで、ご飯や汁物は椀に盛られた状態で提供されます。
松花堂弁当は箱を使用していることから弁当と呼ばれていますが、お弁当というよりは「お弁当スタイルの懐石料理」というべきもので、幕の内弁当のように「ササッと手軽に食べる」のではなく、ゆっくりと時間をかけて見た目も味も楽しむものといえるでしょう。
本式の懐石料理よりは手軽ですが、幕の内弁当に比べると格式が高いものなので、ハレの日のおもてなし料理などに適しています。
まとめ
どちらも「弁当」として人気のある幕の内弁当と松花堂弁当ですが、値段や売られている場所だけではなく、料理内容やコンセプトなどには大きな違いがあります。
おもてなしなど、松花堂弁当が適した場面に幕の内弁当を使うと失礼になってしまったり、幕の内弁当でよい場面に松花堂弁当を用意すると不便を感じたりすることもあります。
幕の内弁当と松花堂弁当の違いを知り、シーンに合わせた料理を選べるとよいですね。