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アスリート ハイパワー系の競技のための食事管理のポイント①

これまで、「アスリート スポーツ選手の身体づくりのための食事管理」と題してアスリートの基本的な食事について連載してきました。今回は、さまざまな種類のスポーツの中でもハイパワー系の競技について考えていきたいと思います。

 

ハイパワー系の競技

では、ハイパワー系の競技には、どの競技が分類されるのでしょうか。一番に思い浮かぶのはやはり、”走る”また、”スピード”といったキーワードではないでしょうか。

陸上競技のうちの短距離投てき種目水泳およびスピードスケートの短距離、それから、人気でありジュニア期より始めることが多い、野球ゴルフ体操、また体重管理が厳しいボクシングや体重増加の必要な相撲もハイパワー系の競技に分類されます。そして、2nd kitchenが食事の提供に携わっている、アメリカンフットボール(アメフト)もハイパワー系の競技です。

ハイパワー系の競技の特性

数秒の一時を争い、それによって勝負が決まる、これこそがハイパワー系の競技の特性と言えるでしょう。数秒ないし、長くても1分ほどの極めて短い時間に最大限のパワーを出し切ることが要求されます。前述したようにハイパワー系の競技はいくつもあります。もちろん、競技によって求められる事柄、さらには筋肉も異なりますが、この『短時間でパワーを最大限に発揮する(筋)力』をつけることが大切である点は全競技において共通しています。では、その力とは何でしょうか。それは、しばしば耳にする”瞬発力”です。陸上競技の短距離のトレーニングの主体は瞬間的なパワーをつけることになります。100mでは、呼吸をすることなく(無酸素運動)ゴールまで走り切りますよね。また、野球ではボールを打つ、取る、投げるといった動作もすべて瞬発力によるものです。もちろん瞬発力のみならず、長期戦に対応できる、持久力も必要ではありますが。

 

パワー発揮中に体内で起こっている変化 その1

瞬間的な最大限のパワーを発揮しているときには筋肉細胞に含まれるアデノシン三リン酸ATPというエネルギーをもつ物質が利用されています。そして、そのATPは、エネルギーを放出した後、体内にあるクレアチンリン酸(CP)の働きで瞬時に再生します。CPは、ATPのエネルギーを貯蔵する役割を持つのです。なお、このエネルギーの受け渡しや再生のサイクルは、「ATP-CP系」と呼ばれおり、体内に貯蔵できる量が少なく、10秒弱ほどしか持続しないのが特徴です。