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アスリート ハイパワー系の競技のための食事管理のポイント②

パワー発揮中に体内で起こっている変化 その2

ATP−CP系のエネルギーを利用した後は、筋グリコーゲン(グルコースの貯蔵型)の分解によるATP産生が主となります。そして、運動時間が長くなると、運動自体も酸素を必要とするように、ATP産生も酸素を利用してのエネルギー産生の割合が増加します。さらに運動時間が長くなると、エネルギー産生栄養素(糖原性アミノ酸など)によるATPの合成が始まります。

そして、ハイパワー系の競技は、このATP-CP系のエネルギーを含むパワーを発揮する際に必要となる筋肉線維のうち、”速筋線維”を強くすることが重要です。筋肉を可能な限り速く、かつ、強く収縮させる筋肉ですね。速筋線維は、ウエイトトレーニングを行うことによって強く太くなっていくと言われています。

筋力アップに大切な栄養素

しかし、残念ながらウエイトトレーニングのみ行っていても筋力アップは出来ませんよね。そこで必要となってくる栄養素がたんぱく質です。ウエイトトレーニングを行なった際の筋肉は負荷がかかることによって筋繊維が壊されている状態であるがゆえ、太いどころか細くなっています。この傷付いた筋肉を修復するために、トレーニング後のたんぱく質の補給、ならびに適度な休養をとることがポイントであり、重要です。そうすることにより、今ある筋肉はより強くて太い筋肉へと変化していき、日々、ウエイトトレーニングを繰り返し行うことによって筋肉はさらにどんどん強くなっていきます。

どれだけ必要?たんぱく質

運動中は筋肉の分解が亢進し、たんぱく質が消費されるため、運動時でない通常時よりも必要量は増加します。このようにハイパワー系の競技に必要な瞬発力には、たんぱく質の摂取が欠かせないことが分かりましたね。では、たんぱく質をより摂取するとより筋肉はつくのでしょうか。残念ながら答えはNoです。より多くのたんぱく質を摂取しても筋肉の合成に使われなかったたんぱく質が出て来ます。そして、その余分となったたんぱく質は、エネルギー源として利用されたり、体脂肪となって体内に貯蓄されます。筋肉をつけるための行為がむしろ逆効果となっていますね。そこで、1日に体重1kgあたり、良質なたんぱく質1.5~2g(1.5~2g/kg/日)摂取することが推奨されています。体格に見合ったたんぱく質の摂取が大切だということが分かりますね。なお、筋肉のみならず、皮膚や髪の毛、爪や内臓、血液など、我々のからだにはたんぱく質が主原料となってるものが多くあります。