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アスリート ハイパワー系の競技のための食事管理のポイント⑤

筋力向上をサポートする栄養素 その2

亜鉛

筋力アップのために行うウエイトトレーニング。そして、その度に筋繊維は壊され、作り変えられて強くなると以前述べました。これは、新しい細胞を作るためのたんぱく質合成に相当します。そして、その工程を促進する酵素が存在し、その酵素の成分がミネラル類のうちの亜鉛なのです。前項のビタミンB6と同様に、瞬発力を高める筋力アップには亜鉛も必要不可欠な栄養素の一つなのです。体内での亜鉛の多くはたんぱく質と結合し、主として骨格筋や骨、皮膚や肝臓、腎臓、脳に存在しています。亜鉛は、アミノ酸(たんぱく質)が筋肉の材料となるのを促進するほか、ビタミンCとともに働き、コラーゲンの生産に関与したり、皮膚の再生にも関わっています。さらには、成長の促進や、性機能の発達や維持の役割も担っています。また、カップラーメン等の加工食品ばかりの食生活により、亜鉛不足に陥り、味が感じられなくなる、ということは有名ですね。亜鉛は味覚の維持にも関与しているのです。そのほか、亜鉛不足によって赤血球膜が脆い赤血球が形成されてしまい、貧血に繋がります。よって亜鉛不足はスポーツ貧血の原因の一つにもなるため、注意が必要です。

では、亜鉛はどんな食品に多く含まれているのでしょうか。亜鉛はたんぱく質を多く含む食品に含まれています。動物性食品では牡蠣、豚のレバー、牛肉(特に肩ロース)に、植物性食品では大豆や種実類に多く含まれています。また、鉄やビタミンCを含む食品と一緒に摂取すると吸収率が高まると言われています。ビタミンCが豊富なレモンと相性の良い食品が多いので併せて摂取しやすいところが嬉しいですね。なお、加工食品は亜鉛の吸収を妨げてしまう添加物(フィチン酸やポリリン酸など)が含まれていることがあるため、加工食品を常用することは避けたいところです。そのほか、アスリートは特に発汗する機会が多いことから、発汗により失う亜鉛にも気を付けたいですね。

栄養素だけではない大切なこと

瞬発力を最大限に発揮するための筋力アップには、ウエイトトレーニングが必要であり、たんぱく質が大切で、併せてビタミン類やミネラル類も重要であると述べて来ました。しかし、それらに加えてしっかり睡眠を取ることも欠かせません。成長ホルモンは寝ている間に分泌されます。トレーニングで傷ついた筋肉の修復は成長とともに行われます。トレーニング実施日は特に、十分な睡眠が取れるよう、心掛けたいものですね。