高齢者によくある低栄養状態とは何ですか?その予防策には何がありますか?
2019年05月18日
「低栄養状態」とは、その名のとおり栄養が足りていない状態のことです。
高齢者は買い物や調理が億劫になる、食への関心が薄くなる、食欲が減って食事回数や量が減るなどの理由から低栄養状態になりやすいという特徴があります。
高齢者が低栄養状態になると、筋肉量が減少し、これが原因で筋力や精神面が衰えるフレイルになります。このフレイルが進行すると介護状態になり、健康寿命を縮めてしまいます。
ふくよかな体型でも低栄養になることはあるので、食生活を見直した予防が重要です。
タンパク質を意識したバランスの良い食事を取る
高齢になると食べやすさから「おかゆ」や「うどん」といった手軽なメニューに偏りがちです。自然と炭水化物の量が増え、ビタミンやミネラル、タンパク質が不足しがちになります。
炭水化物はエネルギー源になりますが、筋肉や骨を健康的に維持するためにはタンパク質やミネラルが欠かせません。
炭水化物に偏重しがちな単品メニューは避け、主食と副菜がそろった栄養バランスの良い食事を取るようにしましょう。
なかでも、高齢者はタンパク質が不足しやすい傾向にあるため、肉・魚・豆腐などをメニューに取り入れ、タンパク質を意識して摂取するとよいでしょう。
食事の回数を増やす
「食事は一日3食」といわれますが、高齢になると1回の食事量が減るため、3食では栄養をしっかり摂ることができないこともあります。
1回の食事量を増やすことができない場合は、1食分を2回に分けたり、食事に間食を加えたりすることで「一日5食」に増やすなどの方法で一日の栄養の摂取量を増やすとよいでしょう。
食べやすく調理する
高齢になると噛む力や飲みこむ力が弱くなるため、硬くて噛み切りにくい食べ物やモチモチした食感の食べ物、パサパサした食べ物は食べにくく、食が進まない原因となります。
食材を細かく刻む、市販のとろみ剤でとろみをつける、蒸す・煮るなどの調理で柔らかく仕上げるなど、食べやすい形態に調理すると食が進み、低栄養を防ぐことができます。
おかずから食べる
食事を取るとき主食から先に食べると、おかずを食べる前にお腹が一杯になることがあります。
これでは、バランスのよいメニューを作っても栄養が炭水化物に偏り、低栄養を防ぐことができません。
おかずから食べるようにすると、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをしっかり摂ることができ、低栄養を予防することができます。
まとめ
高齢者の低栄養を防ぐには、「栄養バランス」「食べやすさ」「食事法」の3つが重要となります。
このうち、おかずから食べる、食事回数を増やすといった食事法の改善はすぐに取り組むことができそうです。
しかし、高齢者向けの栄養バランスが取れた食べやすい形態の料理を作ることは、手間がかかるため難しいと感じられるかもしれません。とくに、高齢者のみの世帯の場合、負担が大きいと感じるでしょう。
そんなときは、一日に1食だけでも、高齢者向けの宅配弁当サービスなどを利用するのもよいかもしれません。買い物に行く手間もかからず、栄養バランスが整った美味しい料理を食べることができます。