8月の行事食にはどんなものがありますか?
2025年07月30日
8月は、お盆や夏祭りなど、地域によって様々な行事が開催され、それに伴う行事食も多く存在します。
本記事では、8月の代表的な行事食についてご紹介します。
8月の行事食
お盆(8月13日~16日)
この時期は殺生を避けるという考えから、肉や魚を使わない精進料理が基本となり、野菜、豆腐、油揚げ、きのこ類などを中心に、素材の味を活かした煮物、和え物、汁物などが食卓に並び、ご先祖様への感謝の気持ちが込められています。
暑い夏に食べやすいそうめんも行事食として親しまれており、ご先祖様が乗り物として使うという説や、戻る道に見立てるなど、様々な言い伝えがあります。地域によっては、ご先祖様へのお供え物としてだんごを作る風習もあり、迎え団子や送り団子として、みたらし団子やきな粉団子など、その形や味付けは様々です。
お盆には地域特有の行事食も数多く存在し、北海道や東北地方の一部では魔除けの意味を持つ小豆を使った赤飯が、宮城県では枝豆をすりつぶしたずんだ餅が、長野県や東北地方の一部では天ぷら饅頭が食べられます。京都府では海藻のあらめの煮物が、大分県ではタラの乾物を使ったたらおさの煮しめが、鹿児島県ではかいのこ汁が、沖縄県では酢の物であるウサチがお盆の食卓に登場するなど、日本の食文化の多様性が感じられます。
夏祭り
8月は各地で夏祭りや盆踊りが盛んに行われるため、その会場で提供される屋台の食べ物も1つの行事食と言えるでしょう。焼きそば、たこ焼き、かき氷、りんご飴、チョコバナナなど、お祭りには欠かせないこれらの屋台グルメは、夏の思い出を彩る食べ物と言えますね。また、特定の地域では、その土地ならではの郷土料理が祭り独自の行事食として振る舞われることもあります。
土用の丑
土用の丑の日は年によって日付が変わります。この日には、夏の暑さに負けないよう滋養をつけるためにうなぎを食べる習慣が広く知られています。うなぎ以外にも、うどんや瓜など「う」のつく食べ物を食べると良いとされる風習もあります。
八朔の祝い(8月1日)
8月1日は「八朔(はっさく)」と呼ばれ、この頃から稲穂が実り始めることから、農村では初穂を恩人に贈る風習がありました。これは「田の実(たのみ)の節句」とも言われ、地域によっては、この日に尾花粥(おばながゆ)や黒ごま粥などを食べる習慣があります。
地域の伝統食
地域に根ざした伝統的な夏の味覚も8月には多く見られます。例えば、山梨県富士北麓地域では8月に旬を迎える夕顔(ゆうがお)のみそ汁が夏の食卓に登場します。鳥取県では、豆腐を主原料としたヘルシーなとうふちくわが、暑い時期にも食べやすい郷土料理として親しまれています。
また、愛媛県では、地元でとれる海藻「いぎす」を使った独特の食感のいぎす豆腐が夏の味覚として知られています。
夏の旬の味覚
行事食とは少し異なりますが、夏の風物詩として家族や友人と楽しむ流しそうめんも、お盆時期に楽しまれることが多い食体験です。そして、スイカ、桃、ぶどう、梨といった旬の果物は暑い8月には欠かせません。そのまま食べるだけでなく、デザートや冷たいおやつとして楽しまれ、夏の暑さを乗り切るための水分補給やビタミン補給にも役立ちます。
まとめ
8月の行事食は、単なる季節の食事にとどまりません。お盆に代表されるご先祖様への感謝の気持ち、夏祭りでの地域とのつながり、そして旬の食材から得られる夏の恵みと健康への願いが、それぞれの料理に込められています。
今回ご紹介したように、土用の丑の日や八朔の祝いといった特定の日付に由来するものから、地域独自の多様な食文化まで、8月は日本の食の奥深さを感じられる特別な月です。ぜひ、今年の夏は8月の行事食を通して、心豊かなひとときを過ごしてみてください。