「土用丑の日」にウナギを食べる理由は何ですか?
2019年08月01日
夏になるとスーパーの店頭にウナギが並び、「土用の丑の日」と書いたのぼりやポップが目に入るようになります。
節分やクリスマスのような年中行事のようになっている土用の丑の日ですが、なぜウナギを食べるのでしょうか。
そもそも「土用の丑の日」とは?
日本には1年を24等分して季節の名前をつけた「二十四節気(にじゅうしせっき)」と呼ばれるものがあります。
二十四節気には「立春」「立夏」「立春」「立冬」のほか「小寒」「春分」などがありますが、元々は中国で成立したものが日本に伝わったものであるため、日本の気候や風習とは合わない部分があります。
そこで、二十四節気に日本独自の「雑節」を加えました。「節分」や「土用」はこの雑節にあたります。
土用は「立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間」のことで、季節の変わり目という意味です。つまり、本来土用は年に4回あるということですね。
「丑の日」というのは十二支の「丑」のことで、年だけではなく月、日、時間、方角などにも当てはめられます。
土用は18日あるので十二支は1回半巡ります。そのため、「土用の丑の日」は必ず一度、タイミングによっては二度あるということです。
つまり、土用の丑の日は1年で最低4回あるということですが、ウナギを食べるのは立秋の前に来る「夏土用の丑の日」だけです。
ウナギを食べるようになったのはなぜか
夏土用の丑の日にウナギを食べるようになった理由については諸説ありますが、もっとも有力な説は、江戸時代の発明家であり実業家でもある平賀源内(ひらが げんない)による発案であるという説です。
縄文時代の遺跡から骨が発掘されるなど、食材としての歴史が古いウナギですが、実は産卵期が冬であるため好んで食べられるのは主に冬でした。
さらに、ウナギのもっともポピュラーな調理法である蒲焼は、味が濃いことから夏場はあまり好まれず、夏になるとウナギが売れなくなったそうです。
困ったウナギ屋が平賀源内に相談したところ、平賀源内は当時流行していた「丑の日に“う”から始まる食べ物を食べると夏負けしない」という風習に目をつけ、ウナギ屋に「本日丑の日」という張り紙を貼るようアドバイスしたところ、ウナギが飛ぶように売れたので、ほかのウナギ屋もこぞって真似をするようになったということです。
年に最低でも4回ある「土用の丑の日」のうち、ウナギを食べるのが夏の土用だけなのは「夏にウナギを売るためだったから」なのですね。
2019年の「土用の丑の日」
2019年は8月8日が立秋で、夏土用は7月20日から始まります。
このうち、丑の日にあたるのは7月27日です。
まとめ
栄養豊富なウナギは夏バテ対策として有効な食材の一つですが、二ホンウナギは絶滅が危惧されるなど気軽に食べられる存在ではなくなってきました。
現在はウナギのほかにも栄養価の高い食品が数多くあるので、ウナギにこだわらなくても夏バテ対策をすることはできます。昔ながらの風習を大切にしながらも、時代に合わせて内容を見直してもよいかもしれませんね。