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高齢者の味覚障害の原因と、食事を通じての対策法4つ。

高齢になると味を感じにくくなる「味覚減退」、味が感じられなくなる「味覚消失(無味症)」、なにも食べていないのに苦みなどを感じる「自発性異常味覚」、特定の味だけ感じられなくなる「 解離性味覚障害」などの味覚障害が起こることがあります。

人間の舌には味を感じる「味蕾(みらい)」という部位が存在していますが、味蕾は加齢とともに減少する傾向があります。

また、高齢になると唾液の分泌量が減少したり、薬、病気、ストレスなどが原因で味を感じにくくなったりします。

さらに、食欲が減ったことで味蕾の元となる亜鉛が不足すると味覚障害が悪化してしまいますので、早めの対策が必要です。

亜鉛を積極的に摂取する

味蕾の元となる亜鉛は、栄養不足だけではなく病気や薬の影響によって不足しやすい栄養素です。

亜鉛を積極的に摂取すると味覚障害の予防や改善効果を期待することができます。

亜鉛はカキ、レバーなどのほか、牛肉やたまご、チーズ、納豆、ナッツ類にも含まれていますので、意識して食べるようにするとよいでしょう。

スープなど水分が多いメニューにする

高齢になると唾液を分泌する機能が弱くなったり、薬の影響で唾液の分泌量が減ったりします。

口のなかが乾燥すると味を感じにくくなるので、食事の前にうがいをする、水を飲むなどの方法で口を保湿するほか、メニュー内容を煮物やスープといった水分の多い物にするとよいでしょう。

また、梅干しやレモンなど酸味が強い食品で唾液の分泌をうながすのも効果的です。

見た目や香りをアップする

鼻が詰まっていると味を感じなくなったり、目隠しをしているとなにを食べているかわからなくなったりすることがあります。人間は、味を舌だけではなく、視覚や嗅覚でも感じているからです。

これは、舌の感覚が鈍くなっても嗅覚や視覚で味をある程度補うことができるということでもあります。味を感じにくくなったというときは見た目や香りをアップし、より「おいしそう」に感じられるよう仕上げるとよいでしょう。

見た目や香りをアップする方法は、衰えた味覚に合わせて味付けを濃くしたときに起こりやすい「塩分過多」を防ぐことができるだけではなく、食欲をそそることで栄養不足になるのを予防する効果も期待できます。

障害の内容に合わせた味付けにする

味覚障害の基本的な対策は亜鉛の摂取量を増やすことにありますが、「食事が楽しくない」と感じていると食事量が減って栄養を補うことができないため、亜鉛不足の解消と「おいしい」と感じられる食事作りは同時に行う必要があります。

そのためにも、味覚障害がどのようなタイプなのかを把握し、障害のないように合わせた味付けにすることが重要です。

例えば、味覚が全体的に弱くなっている場合はコクを感じられるような味付けに変更するなどの方法が適しており、食欲が出て食事を楽しむことができるかもしれません。

しかし、特定の味を強く感じてしまう場合はコクを強くすると味付けを極端に強く感じ、食事を苦痛に感じたり食欲を無くしたりするかもしれません。

味覚障害の治療は耳鼻科が専門ですので、診察を受けて障害の内容や程度を知り、献立を考えるとよいでしょう。

まとめ

高齢になって低下する味覚のなかで、特に低下しやすいのが「塩味」と「甘味」です。

味覚障害に気づかないまま食事をしていると塩や砂糖の過剰摂取に繋がりやすく、生活習慣病にかかる可能性があります。

このことから味覚障害は「起こってから対策する」よりも「予防する」ことが重要といわれていますので、現在は味覚障害ではない方も亜鉛を意識して摂取するとよいでしょう。