高齢者の食事介護。スムーズな食事のためにしておきたいこと5つ。
2019年10月07日
高齢者の介護には様々なものがありますが、食事介護は生きていくうえで必要な介護の一つです。
毎日何度も繰り返す介護ですので、食事介護がスムーズに行かないと介護者はもちろん、介護される側もストレスを感じてしまいます。
スムーズに食事を進めるためにはどのようなことをしておけばよいでしょうか。
事前に排泄を済ませて手を洗う
食事中に便意や尿意が起こると食事にに集中できなくなるだけではなく、食事をいったん中断してトイレに行くことを嫌がって無理に我慢したり、下着を汚してしまったりするかもしれません。
また、食事中にトイレに行くと排泄に時間がかかるため、食事時間内に充分な量を食べられなくなってしまいます。
このようなことを避けるためにも、食事時間が近づいたら事前に排泄を済ませておきましょう。排泄の後にしっかり手を洗い、清潔な状態にしておけばいつでも食事を始められます。
食事に集中できる環境作り
食事がスムーズに進まない原因は様々ですが、その一つとして「食事に集中しない」というものが挙げられます。
例えば、食事中にテレビがついていると、食べ物を口に入れたままテレビを見てしまい、しっかりと噛んだり飲みこんだりしなくなるということは多いのではないでしょうか。
このような場合、食事が進まないというだけではなく、噛むことや飲みこむことがおろそかになってしまうため、食べ物がのどに詰まるなどのトラブルが起こりかねません。
食事を始める前にテレビを消す、雑誌や新聞などを片づける、テーブルの高さや食器の置き場所を調節するなど、食事に集中できる環境作りをしておきましょう。
献立を説明する
認知機能が低下すると「食べるものだということは分かるが内容がわからない」、「食べるものだと理解できない」という状態に陥ることがあります。
このような状態になると、食べることが「得体のしれないものを口に入れること」になりますので、食事が進まなくなったり、食事その物を拒否したりするようになります。
また、認知機能が低下していなくても、味覚や視力、嗅覚などが衰えていると「何を食べているかよくわからない」という状態になり、食べることに積極的になれません。
食事を始める前に献立を説明しておくと、「得体のしれないもの」を「肉じゃが」「煮魚」などと認識できるようになるため、食事に対する不安や拒否感を軽減することができます。
また、「今食べているのはニンジンである」と認識することで、記憶しているニンジンの味や香りが再現され、美味しいと感じやすくなります。
食べやすい姿勢の確保
筋力が低下して姿勢を維持することが難しい高齢者は、食事中に姿勢が崩れて痛みを感じるなど食事に集中できなくなってしまうだけではなく、姿勢によっては誤飲などを招きやすくなります。
姿勢を直すために食事中何度も体を動かしていると気持ちが落ちつかず、食事がスムーズに進みませんので、食事を始める前に食べやすい姿勢を確保し、姿勢が崩れないよう工夫しましょう。
嚥下体操や口腔体操をする
食事前やレクリエーションの時間などに嚥下体操や口腔体操に取り組んでおくと、嚥下機能や噛む力の低下を防ぐことができるだけではなく、スムーズな食事に欠かせない唾液の分泌促進などの効果が期待できます。
また、体操を通じて人とコミュニケーションを取る機会が増えると生活に対する意欲が増え、食欲も増進します。
まとめ
低栄養などになりやすい高齢者の食事シーンは、「生きるために食べなくては」「事故が起こらないよう注意しなくては」などのプレッシャーから緊張感がある雰囲気になることがあります。
しかし、緊張感のある食卓は食事が進まなくなる原因となり、食事が進まないからますますプレッシャーが強くなるといった悪循環を招いてしまいます。
また、そのような状況で「食事に集中しない」「食事中にトイレに行きたがる」「食事中ひんぱんに姿勢を直さなくてはならない」といった事が起こると介護者に強いストレスがかかってしまいます。
高齢者がスムーズに食事をするための工夫は、介護者のストレス軽減にもつながり、お互いに気持ちよく食事ができる環境を作ってくれるでしょう。