普段食から介護食まで対応の「ユニバーサルデザインフード」について。
2020年08月05日
「ユニバーサルデザインフード(UDF)」とは、高齢者はもちろん、歯を治療中の人や病気や傷害などが理由で食べ物を飲みこむことが難しい人など、様々な人が利用できるよう考えられた食品の規格と、その規格に適合した食品のことです。 日本介護食品協議会が「できるだけ多くの人が利用できるように考えられた、みんなにやさしい食品」を定義するために考えた独自規格で、普通食から介護職までを「かたさ」と「とろみ」によって区分分けしています。 近年、介護食作りや食品開発の分野において、UDFの区分を意識する業者、メーカーが増えています。
「かたさ」の区分
UDFの区分として意識されることが多い「かたさ」の区分は、咀嚼力に応じた4段階が設定されています。
「区分1:容易にかめる」は、UDFに該当しない普通の食事にもっとも近い「かたさ」の区分です。具材の大きさや料理の見た目も普通の食事と差がありません。
「区分2:歯ぐきでつぶせる」は、区分1よりも具材がやや小さく、固さもやや柔らかく設定されています。見た目の美味しさにも配慮されており、は普通の食事とそれほど大きな違いはありません。食品によっては飲みこみづらいことがあるという方向けです。
「区分3:舌でつぶせる」は区分2よりもさらに柔らかく、具材も小さく設定された区分です。具材が小さくなるとまとまりが悪く飲みこみにくくなるため、ある程度のとろみがつけられています。水やお茶でも飲みこみづらさを感じることがあるという方を想定しています。
「区分4:かまなくてよい」は、食材をペースト状やゼリー状に加工して飲みこみやすく工夫した食品の区分です。固形物は食べづらい、水やお茶が飲みこみづらいという方向けに設定されています。
「とろみ」の区分
「とろみ」の区分は、食品に混ぜるだけで「とろみ」を加えることができる「とろみ調整食品」に表示されています。「とろみ調整食品」は、そのまま食べる食品ではなく、使用量によって食品のとろみを調整する「調味料」のようなものであるため、具体的な数字で表現するのではなく、使用した結果「とろみを調整できること」と、「とろみを調整してゼリー状にできること」を表す「とろみ調整」「とろみ調整 ゼリー状」の2つしかありません。
なお、レトルトの介護食などでとろみ調整を行っているものは、とろみの程度を「+」の数で表示しています。「+」が多いほど「とろみ調整食品」の使用量が多く、最大の「++++」であればマヨネーズ状のとろみをイメージするとよいでしょう。
ベビーフードとの違い
UDFは「かたさ」「とろみ」のみを規定するもので「塩分」は規定していません。 そのため、UDFをベビーフードとして使用すると塩分過多になってしまいます。ベビーフードのなかにはUDFの区分に合わせてかたさを調節しているものもありますが、UDFの表示がついている食品とベビーフードは別物だと考えておくとよいでしょう。
まとめ
レトルト食品などにUDF区分の表示があると、個人の噛む力・飲みこむ力に合わせた食品を選びやすくなり、様々な人が食を安全に楽しむことができるようになります。 また、介護施設はもちろん在宅看護をしている方にとっても、食事を作るときの目安にしやすいのではないでしょうか。