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「十五夜」と「秋の彼岸」。9月の行事食の由来とその意味

1. 9月の特別な行事

9月に入ると、日本の風習として「十五夜」と「秋の彼岸」という2つの大切な行事が待っています。それぞれには独特の食事や風習が伝承されており、その背景には深い意味や歴史が込められています。

2. 十五夜(中秋の名月)

2.1 由来と意味

「十五夜」は「中秋の名月」とも称され、旧暦8月15日の夜に祝われる行事です。この風習は中国の「中秋節」が起源で、月を愛でる際に「月餅」という菓子を味わう伝統がありました。日本へと伝わり、江戸時代頃からは、農作物の収穫に感謝する行事として浸透していきました。

2.2 食べるもの

  • 月見団子:米粉で作られた団子を月に見立ててお供えします。これには「無事に米が収穫できたことを感謝し、次年の豊作を願う」という意味があります。
  • 衣被ぎ(きぬかつぎ):収穫期の里芋の上部だけを皮で包んで茹で上げたもの。
  • 里芋の煮っころがし:十五夜の時期に特有の食材として、収穫を祝って食べるものです。

3. 秋の彼岸

3.1 由来と意味

「秋の彼岸」は秋分の日を中心とした前後3日間を含む7日間の期間です。この時期は、春の彼岸同様、故人やご先祖様を偲び、感謝の気持ちを伝える時期とされています。

3.2 食べるもの

  • おはぎ:あずきを主材料とする和菓子で、秋の彼岸にお供えされることが一般的です。あずきには邪気を払う力があり、また、かつての貴重品であった砂糖を使用することから、先祖への感謝や敬意を示す食材として位置づけられています。

まとめ

「十五夜」と「秋の彼岸」は9月の日本の伝統的な行事であり、それぞれの背景には深い歴史や意味があります。十五夜では月を見ながらの食事や感謝、秋の彼岸では故人への感謝が中心となり、それぞれ特定の食事が伝統として食されてきました。これらの行事を通じて、私たちは豊かな収穫や家族の絆、故人への感謝の気持ちを大切にし、次世代へと伝えていくことが大切です。